抗VEGF抗体治療
(硝子体注射)

【抗VEGF抗体治療(硝子体注射)は
天六本院で行います】

抗VEGF抗体治療(硝子体注射)とは

抗VEGF抗体治療(硝子体注射)とは

体内には、脈絡膜新生血管の成長を活発化させるVEGF(血管内皮増殖因子)という物質があります。抗VEGF抗体治療とは、このVEGFの働きを抑える効果がある抗VEGF抗体を眼球の中の硝子体(しょうしたい)という場所に注射することにより、加齢黄斑変性症の原因である脈絡膜新生血管の増殖や成長を抑制する治療方法です。

2015年から治療を始めて、実績926眼(2021年8月現在)。1年間で約100~170眼行っています。

適応疾患

加齢黄斑変性症

網膜の中心にあり、物を見るために一番大切な黄斑部に変性がおきる病気で、進行の遅い「萎縮型」と、高度の視力障害を残しやすい「滲出型」があります。

高度の視力障害を残しやすい“滲出型”

黄斑の下に新生血管が網膜の下に伸びてきてしまうタイプです。 血管からの出血やむくみを繰り返すことで急速に進行し、視力が低下します。タバコを吸う人や男性に多くみられます。

進行の遅い“萎縮型”

網膜の細胞が加齢により変性するタイプです 。網膜下に網膜の老廃物が沈着し、栄養不足に陥り、徐々に網膜が萎縮してしまいます。萎縮型の多くは症状が軽度で、進行は緩やかなので急激な視力低下などは起こりませんが、萎縮型から滲出型に進行することもあり,定期的な検診が重要です。

糖尿病網膜症(糖尿病黄斑浮腫)

糖尿病の進行によって網膜の毛細血管で閉塞・出血を起こし、酸素や栄養を十分に供給できなくなる病気です。
初期にはほとんど症状がありません。眼のかすみ、視野狭窄、急激な視力低下、飛蚊症などの症状が現れたときには、かなり進行している可能性が高いと言えるでしょう。
糖尿病と診断された時点で眼科を受診し、予防に努めることが大切です。

網膜静脈閉塞症

高血圧や加齢による動脈硬化が、網膜の静脈を閉塞させる病気です。眼底出血や網膜浮腫などによって、視力の低下を招きます。
50歳以上の、特に高血圧の方に起こりやすい病気です。

病的近視(脈絡膜新生血管)

眼軸が極端に伸びた状態を「病的近視」と呼びます。ほとんど自覚症状なく進行しますが、最悪の場合には失明に至ります。
そして病的近視の症例の中でも、特に眼底で出血・むくみが生じている状態が「脈絡膜新生血管」です。視界のゆがみ、視力低下、色覚異常などの症状を伴います。

抗VEGF抗体(抗血管新生薬)
について

抗VEGF抗体(抗血管新生薬)について

Vascular Endothelial Growth Factorの頭文字で、「血管内皮増殖因子」という物質で、毛細血管の内皮細胞に働きかけ、枝分かれした新しい血管を作ります。これを「血管新生」といいます。新生血管(新しく作られた血管)は非常にもろく、出血やむくみをおこします。このVEGFの働きをブロックするのが、抗VEGF抗体です。 当初、大腸癌の治療薬として開発されました。癌細胞に栄養を送る新生血管を作らせないようにする働きがあるためです。これが大変有効だったので、新生血管が原因で起きる他の病気にも使えるのではないかということになりました。

抗VEGF抗体治療(硝子体注射)の
費用

治療費用は保険適応ですので、負担額により異なります。 患者様の状態によって、費用が異なる場合がございます 。

ルセンティス 1割 約14,000円 3割 約56,000円
アイリーア 1割 約14,000円 3割 約51,000円

※生命保険等に加入されている方は、手術に対する給付金が支払われる場合がございます。
 加入されている方は、各生命保険会社へお問い合わせ下さい。

抗VEGF抗体治療(硝子体注射)の
流れ

1抗菌剤の点眼

注射する3日前より抗菌剤の点眼を使用していただきます。

2消毒後、薬を注射

注射前に眼球とその周囲の皮膚を消毒し、薬を注射します。

点眼消毒・麻酔

点眼消毒・麻酔

注射

注射

3抗菌剤の点眼

注射後も抗菌剤の点眼を1週間使用していただきます。

4定期的に注射

注射の頻度・回数は、病気の状態によりさまざまですが、約4週間ごとに注射を行なう方法(ルセンティスやアイリーア)や、約6週間ごとに注射する方法(マクジェン)、などがあります。1回で効果がある方もありますが、通常3回位、行います。(7-8回行う場合もあります)
※ルテインなどの抗酸化サプリメント服用も治療に効果があります。

治療前

治療前

治療後(2ヶ月)

治療後(2ヶ月)

抗VEGF抗体治療(硝子体注射)の
注意事項

  • 注射当日から、首から下のシャワー、入浴が可能です。翌日からは、洗顔、洗髪も行っていただけます。
  • 注射当日から、読書、テレビ観賞ができます。ただし、疲れない程度としてください。
  • 注射当日は、アルコールをお控えください。
  • 注射翌日から、デスクワーク、散歩程度の運動が可能です。激しい運動は、3日ほど控えてください。
  • 注射後3日は、アイメイクをお控えください。目のまわり以外のメイクは、翌日から可能です。

抗VEGF抗体治療(硝子体注射)の
リスク・副作用

  • 注射によって、白目に出血し、赤くなることがあります。通常、数日以内に治まります。
  • 異物感、重い感じが生じることがあります。こちらも通常、数日以内に治まります。
  • ごく稀ではありますが、白内障の進行、血圧上昇、脳卒中、生理不順などの副作用が報告されています。