緑内障手術

【手術は天六本院で行います】

日帰りで緑内障手術に対応

点眼などの薬物療法から始めますが、効果が不十分な場合や、点眼が継続困難な場合には、レーザー治療や手術を施行します。眼の中の水(房水)が上手く流れるように、通路、出口を拡げ、新しい通路を作る手術です。
当院では、日帰りで緑内障手術を行っております。
場合によっては、白内障手術と同時に行うこともあり、患者さまの心身の負担を減らすように考えております。視神経は一度障害されると回復しないので、視野の完全な回復は難しいですが、点眼、内服、レーザー光線、手術で眼圧を下げます。
最近では、皇后様がレーザー治療を受けられ、マスコミでも取り上げられたので、認識は高くなっているようです。現在は、治療薬がたくさん開発され、手術を受ける割合が減ってきました。

SLTレーザー治療

SLTレーザー治療平成17年2月より新しく設置したSLT(Selective Laser Trabeculo plasty)レーザー治療は、全く痛みなく3分程で終了し、眼圧を下げる効果があり注目されている治療です。眼圧コントロールをみて、繰り返し行うことも可能です。

外来で視野の進行を確認し、点眼追加や変更と同じように、SLTレーザーで眼圧をより下げるように治療します。

白内障手術との同時手術について

当院では、緑内障手術を、白内障手術と同時に行える体制を整えております。
白内障手術による眼圧の低減が期待できるとともに、患者様のご負担の軽減にもつながります。

緑内障手術の種類

緑内障手術には、以下のような術式があります。

MIGS(カフークロトミー)

MIGSは、英語の略語です。正式には、micro invasive gulaucoma surgery,これを日本語に直すと低侵襲緑内障手術となります。「身体に負担の少ない緑内障手術」のことです。
白内障と同じ、目薬のみの麻酔(点眼麻酔)で施行可能で、時間はこれも白内障手術と同じく、5~10分で施行可能な手術です。
これまでの手術に比べて眼圧下降効果は少ないですが、眼への負担が少なく点眼薬を併用して眼圧を目標眼圧まで下げることを目標にします。
白内障手術との相性も良く、白内障手術と同時に行って手術の負担を減らすことができます。当院ではMIGSについては、カフークデュアルブレードを用いた繊維柱帯切開術を導入しています。
カフークデュアルブレードとは、幅0.23mmの小さな器具で、2枚の刃で線維柱帯を切開することにより、抵抗を下げていきます。
極々細い器具なので、結膜などを傷つけずに、角膜(黒目)の小さな創から挿入し、切開することが可能です。
白内障手術と同時手術のケースが多いですが、単独手術も可能です。ただし、白内障手術が済んでおられない方は、刃で水晶体を傷つけてしまう可能性が無きにしも非ずですので、注意が必要です。線維柱帯がちゃんと切開されると、必ず出血を起こします。術後数日、目の中の出血のために、霞んで見えることもありますが、ほとんどは数日で回復します。

 

手術後の注意点

前房出血(1~2週間)が起こることがあります。
前房内の出血により一時的に視力が下がりますが、徐々に吸収されますので問題ありません。
眼圧が安定するまで、日数を要します。
⽬や⽬の周りを強くこすったり、押したりしないでください。

予想されるリスク・副作用

この手術を行うことにより、大変稀ですが、次のようなリスク・副作用が起こることがあります。
前房出血、眼圧上昇、浅前房、前房消失、テノン嚢胞、テノン嚢胞の線維化、角膜障害、濾過胞障害(濾過胞漏出、濾過胞被包、濾過胞線維化、濾過胞肉芽腫、濾過胞の感覚異常)、白内障、低眼圧、低眼圧による黄斑症、
脈絡膜障害(脈絡膜滲出、脈絡膜出血、脈絡膜剥離)、結膜障害(結膜びらん)、眼痛、頭痛、視力低下、手術部位の瘢痕化、虹彩色素脱失、硝子体出血、眼内炎 など

トラベクロトミー(繊維柱帯切開術)

目詰まりを起こし、房水が流れにくくなっている線維柱帯を切開する手術です。最近はカフークロトミー(眼内ロトミー)を行っています。

結膜を切開して結膜を剥離して、強膜弁を作成します。
1.結膜を切開して結膜を剥離して、強膜弁を作成します。
シュレム管の外壁を切除して、トラベクロトームを挿入します。
2.シュレム管の外壁を切除して、トラベクロトームを挿入します。
そして、左右2本のトラベクロトームを角膜中央に向かって回転させます。
3.そして、左右2本のトラベクロトームを角膜中央に向かって回転させます。
最後に強膜弁、結膜を縫合します。
4.最後に強膜弁、結膜を縫合します。
手術後の注意点

前房出血(1~2週間)が起こることがあります。
安静時・就寝時は出血が引くまで頭を高く(45度)して下さい。
眼圧が安定するまで、日数を要します。
眼圧上昇時、眼痛や頭痛、吐き気などを起こすことがあります。

予想されるリスク・副作用

この手術を行うことにより、大変稀ですが、次のようなリスク・副作用が起こることがあります。
前房出血、眼圧上昇、浅前房、前房消失、テノン嚢胞、テノン嚢胞の線維化、角膜障害、濾過胞障害(濾過胞漏出、濾過胞被包、濾過胞線維化、濾過胞肉芽腫、濾過胞の感覚異常)、白内障、低眼圧、低眼圧による黄斑症、
脈絡膜障害(脈絡膜滲出、脈絡膜出血、脈絡膜剥離)、結膜障害(結膜びらん)、眼痛、頭痛、視力低下、手術部位の瘢痕化、虹彩色素脱失、硝子体出血、眼内炎 など

緑内障インプラント手術

緑内障インプラント医療機器の使用目的

この緑内障インプラントは「アルコン® エクスプレス®緑内障フィルトレーションデバイス」と言い、下記のような形状をしたステンレス製の手術機器です。

緑内障インプラント手術緑内障インプラント手術
全長:2.6mm
管外径:380μm

この手術機器を眼内に挿入し、人工的に房水(目の中の液体)を目の外に排出することで、眼圧を下げ、視神経障害の進行を止める、あるいは遅らせる効果があります。緑内障インプラント手術

この緑内障インプラント手術機器は、眼圧を下げるための緑内障のお薬やレーザー治療などの治療法でも十分に眼圧が下がらない場合に使用します。すでにヨーロッパ、アメリカ、カナダ、オーストラリアなどでも発売されており、現在までに延べ8万件以上の手術に使用されており、従来の緑内障手術と同等の眼圧下降効果や、手術に伴う合併症が少なくなる、術後早期の視力回復が得られることなどが海外で報告されています。

アルコン® エクスプレス®緑内障フィルトレーションデバイスを用いた 手術方法
アルコン® エクスプレス®緑内障フィルトレーションデバイスを用いた 手術方法
1.結膜および強膜と呼ばれる白目の部分を切開します。
2.針で眼内へ穴をあけます。
アルコン® エクスプレス®緑内障フィルトレーションデバイスを眼内に挿入します。
3.アルコン® エクスプレス®緑内障フィルトレーションデバイスを眼内に挿入します。
挿入後、切開した強膜を閉じ、結膜を縫合します。
4. 挿入後、切開した強膜を閉じ、結膜を縫合します。

トラベクレクトミー
(繊維柱帯切除術)

目詰まりを起こし、房水が流れにくくなっている線維柱帯を切除する手術です。

結膜を切開して結膜を剥離して、強膜弁を作成します。
1.結膜を切開して結膜を剥離して、強膜弁を作成します。
術後の瘢痕形成を抑制するために、濾過部位にマイトマイシンCを塗布して、数分後生理食塩水で洗い流します。
2.術後の瘢痕形成を抑制するために、濾過部位にマイトマイシンCを塗布して、数分後生理食塩水で洗い流します。
強膜弁下の輪部深層組織を切除し、周辺虹彩を切除します。 強膜弁下の輪部深層組織を切除し、周辺虹彩を切除します。
3.強膜弁下の輪部深層組織を切除し、周辺虹彩を切除します。
最後に強膜弁、結膜を縫合します。術後の房水の排出経路はこのようになります。 最後に強膜弁、結膜を縫合します。術後の房水の排出経路はこのようになります。
4.最後に強膜弁、結膜を縫合します。術後の房水の排出経路はこのようになります。
手術後の注意点

眼圧が安定するまで、日数を要します。
眼圧が低い場合、1週間程度、圧迫眼帯が必要となる場合があります。

予想されるリスク・副作用

この手術を行うことにより、大変稀ですが、次のようなリスク・副作用が起こることがあります。
前房出血、低眼圧、浅前房、前房消失、テノン嚢胞、テノン嚢胞の線維化、
角膜障害、濾過胞障害(濾過胞漏出、濾過胞被包、濾過胞線維化、濾過胞肉芽腫、濾過胞の感覚異常)、白内障、脈絡膜障害(脈絡膜滲出、脈絡膜出血、 脈絡膜剥離)、結膜障害(結膜びらん)、眼痛、頭痛、視力低下、
手術部位の瘢痕化、虹彩色素脱失、硝子体出血、低眼圧による黄斑症、 眼圧上昇、眼内炎 など

緑内障手術の費用

手術内容 1割負担 3割負担
レーザー手術 7,710~8,970円 23,130~26,910円
手術(トラベクレクトミー、
トラベクロトミー、インプラント)
21,300~25,930円 63,900~77,790円

白内障手術を同時に行う場合は、上記料金に白内障手術料金の半額分と下記費用が追加になります。

短期滞在
手術基本料
2,800円 8,400円

※手術費用は保険適応ですので、負担額により異なります 。また、疾患により負担額が異なります 。
※生命保険等に加入されている方は、手術に対する給付金が支払われます。加入されている方は、各生命保険会社へお問い合わせ下さい。

緑内障手術の流れ
(受診~アフターフォローまで)

1手術前の検査

初診はいつでも受け付けますが、術前検査は予約制になっております。
詳しい検査を行いますので、1時間半程度要します。胸部X線、心電図、採血検査も行います。

2点眼麻酔

点眼麻酔麻酔は目薬をさす要領(点眼麻酔)と同じ。麻酔の注射をしないため痛みがなく安全です。
心地よいBGMを聴きながら手術を受けていただきます。

3切開

房水の流れが悪い部分を切開します。痛みは感じません。

4房水の流れを良くする

切除や切開によって房水の流れを良くしたり、新しく房水の流れる通路を作ることで、眼圧を下げます。

5緑内障手術終了

当院では入院は不要です。手術後10~15分で帰宅できます。
手術が終わったら翌日から眼帯なしで普段の生活に。
(洗顔、洗髪、化粧は通常7日目から可能。念のため医師の許可が必要です。)
車の運転は目が見えにくい場合がありますので、医師にご相談ください。

6緑内障手術後の診察

緑内障手術後の診察長期的な管理が必要で、数年後には追加手術になる場合もあります。こわい病気だと思われていますが、定期的に検査を受けて、早目に必要な処置を受ければ予防できます。緑内障を放置すると失明に至る上、治療に成功しても現状を維持することにとどまるので、当院では早期発見・早期治療に力をいれています。

緑内障手術後のQ&A

緑内障の診断を受け、点眼による治療を受けています。日常生活で注意することはありますか?

よく「眼を使わない方がいいですか?」というご質問をいただきますが、眼を使うことで緑内障が進行することはありませんので、テレビを観たり読書をしたりといった機会を減らす必要はありません。ただ、眼の酷使は当然ながら視力低下や眼精疲労などを起こす原因になりますので、ほどほどにしておきましょう。食事や運動についても、これまで通りで問題ありません。
ただし、喫煙は緑内障や白内障の原因になることがあります。身体のためにも、禁煙しましょう。

緑内障手術を受ければ、必ず眼圧は下がるのでしょうか?

100%ではありませんが、ほとんどのケースにおいて、眼圧は低減できます。
点眼薬の量を減らしたり、中止したりといったことも期待できます。

緑内障の進行を止めることはできないのでしょうか?

緑内障の進行を改善に止めたり、治癒したりといったことはできません。
緑内障の治療では、手術を含め、眼圧を下げ、できるだけ緑内障を進行させないことを目的としています。
それだけに、早期発見・早期治療が大切になります。

緑内障の人は、風邪薬を飲まない方がいいときいたのですが、本当でしょうか?

閉塞隅角緑内障の方は、風邪薬をはじめとするさまざまな薬の服用に注意が必要です。成分によっては、緑内障発作を引き起こすことがあります。ただこの発作は、レーザー治療によって予防することができます。
ご不安なようでしたら、一度当院にご相談ください。

緑内障手術に痛みはありますか?

点眼による麻酔をかけますので、麻酔も、手術そのものも、痛みはありません。
手術中は、心地よいBGMをかけ、リラックスしていただけるよう努めています。

手術後、一度下がった眼圧が上昇することはありますか?

ありますが、点眼薬によってコントロールができる程度です。
点眼薬で眼圧がコントロールできない場合には、再手術が必要になることもあります。